2015年2月19日木曜日

アンティーク・ガラス用語豆辞典 《マ行》《ラ行》

1年以上前に始めたガラス用語豆辞典、長らく中断してしまいましたが漸く最終項をUPします。
細かく拘れば、まだまだありますが、一応『これだけ分かればあなたもアンティーク・ガラス通』レベルの用語は網羅したかな?と思っております。
私自身の復習という目的も半分以上ありましたが、何かのお役に立てていただけたら嬉しいです。
オレンジ色の文字をクリックすると、関連ページにジャンプしますので参照されたい時にご利用ください。
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《マ行》
マーブルガラス marbled glass
何色かの異なる色ガラスを加熱して混ぜ合わせ、大理石のような縞目を付けたガラス。古代より用いられた技法だが、近代のDaumなどのヴィトリフィカシオン技法による斑文ガラスや、模様入りのビー玉などもマーブルガラスと呼ばれることがある。

マルケトリー marqueterie
あらかじめデザインに応じて作っておいたガラスの小片(花や葉などのモティーフ)をガラス器の所定の場所に熔着し、素地にならし込んで模様を作るエミール・ガレが特許を取得したガラスの加飾法。本来マルケトリー(仏)とは寄木細工や金属、鼈甲、貝などの小片を象嵌して模様を作る家具の装飾技法を指し、ガレもそこから発想しガラスに応用したといわれる。
この野心的な技法は表現の自在性、多様性が得られる一方、技術的にデリケートで難しく、失敗が多いため多用はされず、ガレ作品の中でも特に芸術的な傑作や試作品にのみ見られる。

マルトレ martelé
『ハンマーで叩かれた』という意味のフランス語で、厚手のガラスにグラインダーで銅鍋に見られる槌目のようなファセットカットを施すガラスの加飾法。Daumの作品に多く見られる。

ミルクガラス milk glass
ガラスの原料に金属酸化物などを混ぜて不透明にしたオパリーヌの白いものを指す俗称。
優しいミルク色が愛されてコレクターも多い。アメリカのメーカー、フェントンのミルクガラスは特に知られている。


ミルフィオリ millefiori
細い色ガラスの棒を組み合わせて金太郎飴のように断面が模様になるように作ったガラス棒をスライスし、こうしたピースをモティーフとしてガラスに溶かし込む技法。古代から現代まで、トンボ玉、器、ペイパーウェイト、アクセサリーなど様々な装飾的なアイテムに用いられている。
語源は『千の花』を意味するイタリア語で、19世紀半ばから使われ始めたネーミング。それ以前はモザイクと呼ばれていた。

ムラーノ・ガラス Murano glass
ヴェネツィアン・グラスの別称。古来よりヴェニスのムラーノ島で作られてきたガラスなのでこう呼ばれる。因みにフランスのアンティック界では専らMuranoと通称されている。

モザイク・ガラス mosaic (mosaïque仏) glass
あらかじめ用意したガラスの小片を寄せ合わせて熔着させて一体化したり、ジグゾーパズルのように嵌め込んで絵柄を構成したりする技法。ミルフィオリもモザイクの一種である。

モスク・ランプ mosque lamp
モスク(イスラム教の礼拝堂)にたくさん下がっているガラスの吊りランプ。胴が括れて口の大きく開いた花瓶型でチェーンや吊り紐を通すための小さな耳が3~4個付き、多色エナメル彩で寄贈者の名前やコーランの一節などの文字やアラベスク模様が装飾的に描かれたものが多い。
本来イスラム・ガラスが華々しく栄えた13~14世紀に多く作られ、ヨーロッパにも早くからコレクターによって集められた。19世紀半ばにフランスのガラス工芸家BrocardやGalléがその美しさを再発見し、模倣した作品(花瓶)もモスク・ランプと呼ばれる。

《ラ行》
ラスター彩 luster →イリデッセンス
(ラスター彩ガラスの主要な作家ティファニーやレーツについてはこちらもご参照ください。)

ラッティモ lattimo →ミルクガラス
(ヴェネツィアン・グラスに限り、ミルクガラスと呼ばずにラッティモと一般に呼ばれる。)


ラメル lamelles →マルケトリー
(薄片を意味するフランス語。ガレのマルケトリーと同じ手法だが、特許のため他の作家の作品においてはラメルと言われる。特にDaum作品に多く見られる。)

レース・ガラス →フィリグラーナ

レッド・ガラス(レッド・クリスタル)lead glass (lead crystal) →鉛クリスタル

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