2017年1月28日土曜日

バカラの地模様

寒波が緩み、久々に午後3時過ぎ現在8℃もあります。朝のお散歩時も零下ではありませんでした。
こんな感じが数日は続くようです。楽といえば楽ですけれど、個人的な好みからいえばこんな中途半端な天気は気分が乗りません。

珍しく、ブログをまめに更新しております。
きょうはバカラのエッチングによるグラヴュール製品に見られる地模様についてまとめてみました。
案外、これはバカラか否かの決め手となる重要な鍵です。
地模様によるジヴレ加工が施されたガラス製品は、19世紀末期から20世紀初頭にかけて流行したようで、バカラの他にサン・ルイやヴァル・サン・ランベールなどの大手のクリスタルリーが手掛けました。
こうしたガラス製品はマークやサインが入っていないものが多いため、現代ではメーカーを見分けるのが難しく、骨董業者でさえ正しく見極めている人はむしろ少ないぐらいです。
バカラの場合、地模様のパターンは意外に少なく、下記にご紹介する代表的な4種類の模様を把握しておけば大体間違いないと思います。

 
Aが最も多いパターンでギザギザ葉っぱ文が特徴的。 Bも多いがとても細かい模様で他社と混同されやすい。 Cは比較的少数派だが、月桂樹(と思われる)の葉と実の模様が特徴的。 Dはランプシェード等の照明用品専用のようだ。

Aパターンは照明用品、トワレット用品、食器、装飾品などに広く用いられている。

Bパターンは照明用品、装飾品、食器などに用いられている。

Cパターンは、装飾品、食器、トワレット用品に用いられている。

Dパターンは(私の知る限り)照明用品のみに用いられたようだ。

以上、私が扱ったバカラ製品の画像からピックアップして掲載しました。
まだ他にもパターンがあるかも知れませんが、アンティック市場で目にするバカラと特定できるものとしてはこんなところです。
参考までに混同されがちな他社の地模様を下記に掲載します。

左3点はサン・ルイ。照明用品には模様の中にSt Louisと小さく入っていることが多いが見つけ難い。
右端はヴァル・サン・ランベール。小鉢と水差しセットのゴブレ。

2017年1月26日木曜日

バカラの金具

フランスは全国的に相変わらず寒い日が続いております。
コルシカやアテネに雪が降ったり、ヨーロッパ全体が凄い寒波に襲われているようで、今年は新年早々異常気象です。
私は風邪もすっかり治り、こないだの土曜日は-4℃の凍てつく朝、健気にも蚤の市をハシゴして宝探しをして参りました。

前回はバカラのサインについて勉強しましたが、きょうはサインが無いバカラ製品をどうやって見分けるかというテーマです。
鍵はいくつかありますが、今回はその一つの鍵になる金具についてまとめてみました。
グラス類は金具が付いていることは滅多にありませんが、花瓶や鉢や蓋物などにはブロンズや銀などのメタルの台座や取っ手や蓋などが付いたものが見られます。
特に1880年代のジャポニズムや、1900年頃のアール・ヌーヴォーのものに多く、シンプルなデザインのものから非常に凝ったリッチなものまで色々あります。
これらの金具にはよくよく見るとバカラのマークが小さく刻印されているものもありますが、無いものも少なくありません。


これらの金具がどのように使われているかを下の画像でご覧ください。


 梅を模ったブロンズの台座は、ジャポニズム作品の定番的なもので色々なサイズや形がある。
金色に塗装された鉛系のメタルの台座はアール・ヌーヴォー風な絵柄の金彩のものに多い。

サクランボ、獅子頭、宿り木、東洋風、グラヴュールの柄に合わせたものなど。
下段左は、ビスキュイ・オリベ(ビスケットメーカー)用。

ビスケットジャー(下)の蓋のつまみの形が特徴的。このタイプは裏の留め具にバカラマークの刻印がある。
(左右の端と右から2番目の花瓶の画像はクリスティーズ他のオークションのカタログから拝借)

稀少なリッチ・ヴァージョンの金具付花瓶群。
(ロンドンのアンティックディーラーSINAI and SONSのサイトから拝借)

2017年1月18日水曜日

バカラのサイン

今年こそは真面目に、まめに、ブログを更新しようと決意したばかりなのに、酷い風邪で先週ほぼ1週間ダウンしておりました。
気を付けているつもりなのに、何故か去年の11月から毎月風邪を引いてしまいます。
今度のが一番凄くて、なんと39℃近い高熱(多分子供の時以来)が出て、汗もたくさん掻いて2日間で2㎏も体重が減りました。

最近の私のブログは食べたり飲んだり遊びに行ったりした話が多く、『ためになる話』が無かったですね~。
反省して、きょうはちょっとだけ『ためになる』(と勝手に思い込んでる)記事をUPします。
バカラ製品のマークやサインについては多くの人がブログや本に載せておられるので、今更なのですが、Antique姉妹社の主流アイテムでもあるBaccaratですから触れずに過ごす訳にもまいりません。
私なりに、実際扱った品々(例外あり)を例にとって参考書的に挙げてみました。

まずは、バカラのマークに関する基礎知識です。

*1860年に例のブランドマークを商標登録する。
*1862年~1936年、紙に印刷したマークの小さな丸いラベルを吹きガラス製品に糊で貼り付けていた。(8番参照)
*1875年以降、型成形製品にBACCARAT(屡々DÉPOSÉを伴う)のレリーフ文字が型で入る。
*1920年以降、香水瓶のみにエッチングによるマーク及びBACCARATの文字が入る。
*1936年~1970年、ほぼ全ての製品にエッチングによるマークが入る。
*1971年~1989年、全てのテーブルウェア及び装飾品にサンドブラストによるマークが入る。
*1990年~現在、サンドブラストによるマークに加えてレーザーによるBaccarat のロゴが入る。
*1997年~現在、シャンデリア類にB の文字を刻んだ赤い8角パンピーユが1個付く。(21番参照)


上のサインの番号と下の製品の番号がリンクしております。


1)1900年頃 金具部分に刻印 2)1880~1890年代 金具部分に刻印 3)1880年頃 金具部分に刻印 4)1950~1960年代 5)19世紀末~20世紀初頭 6)1890年代 7)19世紀末~20世紀初頭 8)1900年頃 9)19世紀末 10)1970~1980年代 11)1870~1890年代 12)1970~1980年代(1820~1840年代の花瓶の復刻版) 13)1925年頃 マルセル・フランク(アトマイザー付き香水瓶メーカー)の名入り特注品 14)1950年代 ロシェj弟社(酒造会社ー)の名入り特注品 15)1930年代 ジョルジュ・シュヴァリエ作品 16)1930年代後半 17)1943年~1961年 18)マルキーズ・ド・セヴィニェ(ショコラティエ)の名入り特注品 19)1970~1980年代 20)現代(1990年以降) 年号入り 21)現代( 1997年以降)シャンデリア類専用 


大体こんなところです。本当はフェイクや似て非なるマークも挙げたかったのですが、手元に実物や画像が無かったので割愛しました。
現代版(20と21)は実物を持ち合わせませんので、バカラのサイトから画像を拝借しました。

マークやロゴが入っている物は良いのですが、1936年以前のアンティックのバカラ(型物以外)はラベルが剥がれて何も手がかりが無い物が殆どです。
これらの古いノーマークのバカラ製品をどうやって特定するかという問題については、また別の稿にてお勉強いたしましょう。


2017年1月2日月曜日

2017年 あけましておめでとうございます。



あけましておめでとうございます!
2017年が幸せな良い年でありますように… ガランガラン、チャリン!と、頭の中で初詣しました。

パリは昨年末から近年稀な寒さに襲われており、ここ2~3日は零下4℃から0℃ぐらい、並木が樹氷化している有様です。
昨日の大晦日は毎年恒例の古くからの友人との『円』での楽しい蕎麦会食の筈が、とんだ番狂わせが発生し(向かう途中で車がパンク)、おじゃんになってしまい、惨めでした。
いえ、もう忘れましょう、嫌なことは。 あれが去年の厄落とし(?)と思うことにしましょう。

今年はきっと良い年になる、と自分に言い聞かせております。

昨夜の残念を挽回すべく、賑々しく整えた元旦の朝の食卓

向付はラングスティーヌと帆立のお造りキャヴィア添え。
煮物、フォアグラ詰めイチジク、黒豆、鮑の刺身、イベリコハム、数の子、紅白蒲鉾、
イクラ、田造り風佃煮、柚子入り大根なます、というお節もどきの簡素なメニュー。
頂き物のお酒『鄙願』をサンルイのグラスで。もう最高!1本空けてしまった。

食卓からの眺め。(私の席から)