2014年5月18日日曜日

アンティーク・ガラス用語豆辞典 《ナ行》《ハ行》

《ナ行》
鉛クリスタル (レッド・クリスタル lead crystal)
原料に酸化鉛を含むクリスタル・ガラス。17世紀にイギリスで発明されて以来現代まで主流といえる代表的なクリスタル。
(詳しくはアンティーク・ガラス豆百科-その2-もご参照ください。)

《ハ行》
パティネ patiné
『古色を付けた』という意味のフランス語の形容詞で、黒、茶、緑、金などで着色されたブロンズをブロンズ・パティネと呼ぶように、本来彫刻などに使われる技法を指す。ルネ・ラリック等アール・デコのガラス作家がこれを応用し、色を溶かしたアラビアゴム系の糊を無色のガラス製品の表面に塗布し乾燥させて着色し、レリーフ模様を際立たせるなどの効果を出すための簡易な加飾法として多用した。
エミール・ガレが特許を申請したパティネは、溶けたガラス素地に不純物を混入し、化学反応を起こさせて錆のような古色を出すという技法だが、晩年の作品に極稀に用いられた。

パット・ド・ヴェール pâte de verre
本来『ガラスのペースト』という意味のフランス語。色ガラスの粉末を糊で練って鋳型に充填し、型のまま焼き上げて中のガラスを溶解させて成形する技法。(詳しくはアンティーク・ガラス豆百科-その21-もご参照ください。)

ハンドカット・ガラス hand-cut glass →カットガラス




ビードロ vidro
江戸時代のガラスの呼称。ガラスを意味するポルトガル語vidroが語源といわれる。薄手のシンプルな吹きガラスをビードロと呼び、カットをほどこした高級なガラスをギヤマンと呼んだとの説もある。

ファソン・ド・ヴニーズ façon de Venise
『ヴェニス風』とか『ヴェニス式』という意味のフランス語で、ルネッサンス期にヨーロッパ中を席巻したヴェネツィアン・グラスを模倣してフランス、ドイツ、オランダなどで作られたガラス器を指す。各国の王侯貴族がヴェニスのガラス職人を引き抜き自国に招聘して作らせたものであろうといわれる。(詳しくはアンティーク・ガラス豆百科-その8-もご参照ください)

フイユ・メタリック ( ペルル・メタリック ) feuilles métalliques  ( perles métalliques )
ガラス素地の中に金、銀、プラチナ箔などをサンドウィッチ状に封入して加熱し、吹いて箔を散らして地模様を作る技法。正しくはinclusions de feuilles métalliques (金属箔の混入)というフランス語。日本では、feuilles(箔)ではなくperles(珠)と伝えられている。

フィリグラーナ filigrana
日本ではレースガラスと呼ばれるヴェネツィアン・グラスに多用される技法またはその素材になるレース棒およびこの技法を用いたガラス器そのものを指すイタリア語。語源は線、糸を表すラテン語に発し、因みに銀や金の針金細工もフィリグラーナという。


プレス・ガラス pressed glass →型押しガラス

フロスト・ガラス frosted glass →サティネジヴレ


  

近所の美味しいレストラン『ラ・ブルゴーニュ』

反省したばかりなのに、また2週間以上もブログを更新しておりませんでした。
愛読者(もし、いらしたらの話ですが)の方々には大変申し訳なく思っております。
ウンザリですよね、チェックする度に同じページが出てきちゃって。
この2週間何をしていたかと申しますと、まず10日間ほど膝を痛めていたり、痛いのを我慢しながらバスティーユの骨董市に2回も宝探しに行ったり、車が故障してガレージ通い(こちらは何だって一度じゃ片付かないのです)をしたり、日本からのお客様があったり…。
膝が痛かったのは(ネットで調べたところ)『鵞足炎』だったようで、原因は重量超過の上に子供達のお散歩の時にふざけ半分走る真似をしたこと+構造上の問題(X脚と偏平足)と自己診断しています。医者嫌いなので、色々試しながら自力で治しました、というか自然治癒?
見つけたお宝は近日中に公開いたしますので、それまでのお楽しみということにしておきますね。

昔はお客様を自宅でウチのシェフの料理でもてなしたものですが、最近は食卓や食堂もアンティックに侵略されていてアペリティフがやっとという状態なので、専らレストランにお招きしています。
先日、日本からのお客様が家にみえたので近所のフランス料理店にご案内しました。
Maisons Alfort(メゾン・アルフォール)にあるLa Bourgogne(ラ・ブルゴーニュ)というレストランで、最近の私達の『お気に入り』の一軒です。
昔からミシュランに載っていたし、車で時々前を通るので存在を知ってはいたのですが、古くさくて見映えのしない店だったので長いこと食わず嫌いしていたのです。去年、何気なくミシュランのコメントを見たらとてもモダンで親密な雰囲気とか、最高の食材でまじめに作った独創的な料理とか意外にも評価が良いので、半信半疑で行ってみてビックリでした。すっかり生まれ変わった素敵な店構え、珍しいほどの良い材料で非常に美味しく料理してあり、ワインのセレクションも良ければサーヴィスも感じが良く、しかも安い!
自宅から車で10分もかからない所にこんな良いレストランがあったなんて!と狂喜したのでした。

昔の面影は全くないモダン・シックな店構えと店内。

名の有る女性デザイナーの手になるインテリアは、シンプルで明るくゆったりとしている。
彼方此方に置かれた胡蝶蘭も本物だった。(最近とても良く出来た偽物が多いのです)

chorizoとチーズのクリームにトマト・スリーズのコンフィが載ったアミューズ。(写真大き過ぎ)
今が旬のアスパラガスの前菜。トマト・ファルシの中身は蟹と卵の和え物。(これはお客様のチョイス)

私達の前菜はエスカルゴのパスタ包み、コンテ(チーズ)で軽くグラティネしてある。
メインは全員オマール、ヴァニラとトンカ豆風味のリゾット添え。(前回もコレを食べた)

夫のデザートはシャーベット4種。私は苺とフランボワーズのサバイヨン。
お客様のデザートの写真を撮るのを忘れた。

食事の前にシャンパンとフランボワーズのカクテル・メゾン(これがまた美味)とプチ・フール・サレが出て、デザートの後にはコーヒーかお茶に小菓子が出ます。更に、二人に1本(フルボトル)白か赤のワインまたはミネラル水まで付いて、大きな声では言えませんがなんと一人49ユーロというリーズナブル過ぎるお値段なのです。
コースに付くワインはお仕着せだしミネラル水と同等とあって敬遠していたのですが、今回試しに1本白ワインを取ってみたら意外に美味しいMaconでした。因みに別に注文したワインは、ブルゴーニュのFixinの白、Louis Jadot 2011だったのですが、個性的で素晴らしいワインでした。
料理もデザートもそれぞれ4品ずつの選択肢があるのも嬉しいし、帰りには薔薇の花を一本くれる(女性限定)のも優しいし、全ての点で美味しくって気前の良いレストランです。

Restaurant La Bourgogne のHPはこちらからご覧になれます。

2014年5月2日金曜日

5月1日、ミュゲ(鈴蘭)薫る朝

きょうは5月1日、May Day、労働者の祭日であると同時に、春の訪れを祝う五月祭(メイポール)の日でもあります。
フランスでは元々5月1日の花はエグランティーヌ(野バラ)とされていて、メーデーのデモに参列する人はボタンホールに野バラを挿したらしいのですが、1907年からパリではそれがミュゲ(鈴蘭)に代わったのだそうです。
それ以来5月1日にはイル・ド・フランス(パリを中心とする地方)の春を象徴する花としてミュゲを一本贈り合う慣わしが定着したとのことです。今では、この日だけは誰でも道端などでミュゲを売ることが赦されています。
今朝、近所のマルシェではそこかしこでミュゲが売り買いされていました。小さな鉢に苔などを入れ、鈴蘭と薔薇を1本ずつ挿したものを高く売っている業者もいれば、森や庭で摘んできたらしいミュゲを糸で束ねたものを売っている人もいて、私は「1ユーロ、1ユーロ」と哀れっぽくつぶやいて売っていた貧相な若い男から4ユーロで5束買いました。
細くて短いミュゲが数本ずつ糸で束ねてあり、いかにも森で探して摘んできたような不揃いで頼りない感じでしたが、今も私の机の上でとても良い香りを放っています。

ラリックのDocteur Pierreのゴブレに挿したミュゲ。なんて可愛い花なのでしょう!

糸を解いたらけっこう量が多かったので、Legrasのフリュートにも挿してみた。

きょうは白い花でコーディネートしようと思い立ち、庭の白薔薇と終りかけのリラも仲間入りさせた。
美しい!でもこの状態で食事したら、ワインも平目も花の香りがしてNGでした。

薔薇とリラはラリックのLotusのキャラフに活けてみたけど、なかなか良い感じ。これ花瓶に使えますね。